鼻づまりや黄色い鼻水、顔の痛みが続くと、「蓄膿症かもしれないけれど、何科へ行けばよいのだろう」と迷うことがあります。風邪に似た症状もあるため、内科と耳鼻咽喉科のどちらを受診すべきか分からない方もいるでしょう。
蓄膿症が疑われる場合、基本の受診先は耳鼻咽喉科です。耳鼻咽喉科では鼻の中を直接確認し、必要に応じて鼻内視鏡や画像検査を行えます。ただし、風邪の全身症状が中心なら内科、上の歯の痛みや歯科治療との関連が疑われるなら歯科・口腔外科も選択肢になります。
この記事では、蓄膿症が疑われるときの診療科の選び方、受診の目安、診察や治療の一般的な流れを解説します。
この記事は一般的な医療情報を提供するもので、診断や治療の代わりではありません。症状がある場合は医療機関へ相談してください。
蓄膿症は何科?基本は耳鼻咽喉科
蓄膿症が疑われる場合は、まず耳鼻咽喉科へ相談するのが分かりやすい選択です。
蓄膿症は以前から使われている呼び方で、現在は主に「副鼻腔炎」と呼ばれます。副鼻腔は鼻の周囲にある空洞で、そこで炎症が起きると鼻づまり、粘り気のある鼻水、後鼻漏、顔面痛、頭重感、嗅覚低下などが現れることがあります。
耳鼻咽喉科では鼻の奥まで観察し、副鼻腔炎だけでなく、アレルギー性鼻炎、鼻茸、鼻中隔の形の問題なども含めて確認します。症状だけでは原因を区別しにくいため、鼻の症状が続いている場合は専門的に調べてもらうことが大切です。
蓄膿症でみられる症状について詳しく知りたい方は、蓄膿症の症状を見逃さないためのガイドも参考にしてください。
耳鼻咽喉科を選びたい症状
次のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科が適しています。
- 黄色や緑色の粘り気がある鼻水が続く
- 鼻づまりが長引いている
- 鼻水が喉へ流れる後鼻漏がある
- 頬、目の周囲、鼻、額に痛みや圧迫感がある
- においが分かりにくい
- 鼻水や息のにおいが気になる
- 同じ症状を何度も繰り返す
- 市販薬を使っても改善しない
色のついた鼻水だけで細菌感染と断定することはできません。症状が続く期間、痛みや発熱の有無、いったん改善した後に悪化したかなどを含めて医師が判断します。
副鼻腔に膿がたまる仕組みについては、蓄膿症で膿が出る理由を解説した記事をご覧ください。
内科でも相談できるケース
風邪に伴う発熱、喉の痛み、咳、だるさなどの全身症状が中心であれば、内科やかかりつけ医へ相談することもできます。最初は風邪のように見えても、鼻症状が長引いたり悪化したりした場合には、副鼻腔炎が関係している可能性があります。
内科で副鼻腔炎が疑われ、鼻の詳しい検査や処置が必要と判断された場合は、耳鼻咽喉科を紹介されることがあります。近くに耳鼻咽喉科がない場合や、どこへ行けばよいか判断できない場合は、かかりつけ医へ相談しても構いません。
ただし、鼻づまり、鼻水、嗅覚低下、顔面痛など鼻周辺の症状が中心なら、最初から耳鼻咽喉科を選ぶほうが検査や治療をスムーズに進めやすいでしょう。
歯科・口腔外科も検討するケース
副鼻腔の一つである上顎洞は、上の奥歯の根に近い位置にあります。上の歯の虫歯や歯根の炎症が上顎洞へ広がり、「歯性上顎洞炎」を起こすことがあります。
次のような場合は、耳鼻咽喉科に加えて歯科・口腔外科への相談も検討してください。
- 上の奥歯に痛みや違和感がある
- 虫歯や歯周病を指摘されている
- 抜歯やインプラントなどの歯科治療後に鼻症状が出た
- 片側だけに鼻づまりや悪臭のある鼻水が続く
- 耳鼻咽喉科の治療を受けても片側の症状が改善しない
鼻の症状と歯の症状のどちらが原因か、自分で判断するのは困難です。耳鼻咽喉科と歯科・口腔外科が連携して治療する場合もあります。
受診するタイミングの目安
風邪の後に軽い鼻症状が出ても、短期間で改善することはあります。しかし、次のような場合は医療機関へ相談してください。
- 鼻水や鼻づまりが1週間以上続く
- 症状がいったん軽くなった後に再び悪化した
- 発熱や顔の痛みが続いている
- 症状が強く、睡眠や仕事に支障がある
- 数週間セルフケアをしても改善しない
- 何度も副鼻腔炎を繰り返す
- 症状が長期間続き、嗅覚も低下している
長引く症状を放置すると慢性化することがあります。また、治りにくい好酸球性副鼻腔炎や鼻茸、歯の炎症など、別の原因が隠れている場合もあります。
早急に医療機関へ相談したい症状
副鼻腔炎の合併症は多くありませんが、炎症が目の周囲や頭蓋内へ広がることがあります。
次のような症状がある場合は、通常の診療時間を待たず、救急相談窓口や救急医療機関へ連絡してください。
- 目の周りが強く腫れたり赤くなったりしている
- 視力が低下した、物が二重に見える
- 目を動かすと強く痛む
- 激しい頭痛や繰り返す嘔吐がある
- 高熱が続き、ぐったりしている
- 意識がぼんやりする、反応がおかしい
- 首が硬い、けいれんや手足の動かしにくさがある
特に、糖尿病がある方、免疫機能が低下する病気や治療を受けている方は、症状が強い場合に早めの相談が必要です。
耳鼻咽喉科では何をする?
診察では、症状が始まった時期、鼻水の状態、痛みや発熱、嗅覚の変化、アレルギー、歯の治療歴などを確認します。
そのうえで、次のような診察や検査が必要に応じて行われます。
- 鼻の中の診察
- 鼻内視鏡による観察
- レントゲンやCTなどの画像検査
- 鼻汁の細菌検査
- アレルギーに関する検査
すべての方にCTや細菌検査が必要なわけではありません。症状の程度や続いている期間、繰り返しの有無などを踏まえて医師が判断します。
蓄膿症の主な治療
治療は、急性か慢性か、細菌感染が疑われるか、鼻茸やアレルギーがあるかなどによって異なります。
医療機関では、鼻汁の吸引や洗浄、薬の噴霧、内服薬や点鼻薬などが検討されます。抗菌薬が必要かどうかは症状や診察結果をもとに医師が判断します。抗菌薬を自己判断で使用したり、以前の残りを飲んだりしないでください。
慢性副鼻腔炎で薬や処置による改善が不十分な場合や、鼻茸などで鼻の通り道がふさがっている場合は、内視鏡手術が検討されることもあります。
受診前に準備しておくとよいこと
受診時に次の情報を伝えられるようにすると、診察がスムーズです。
- いつから症状があるか
- 鼻水の色、粘り気、におい
- 左右どちらに症状があるか
- 発熱、頭痛、顔面痛、歯痛の有無
- においが分かるか
- これまでに使った市販薬や処方薬
- アレルギー、喘息、歯科治療の有無
- 同じ症状を過去にも繰り返しているか
症状の経過をスマートフォンなどにメモしておくと、受診時に説明しやすくなります。
まとめ
蓄膿症が疑われる場合、基本の受診先は耳鼻咽喉科です。鼻内視鏡や画像検査などで鼻と副鼻腔を詳しく確認でき、原因に応じた治療を受けられます。
風邪の全身症状が中心なら内科、上の歯の痛みや歯科治療との関連が疑われるなら歯科・口腔外科も候補です。判断に迷う場合でも受診を先延ばしにせず、まず相談できる医療機関を受診しましょう。
目の周りの腫れ、視覚の異常、激しい頭痛、意識の変化などがある場合は、早急な対応が必要です。
